令和元年までの統計によると、外務省が調査した海外にいる日本人は年々増えており、140万人を超えたそうです。そのため相続人の中には、外国に住んでいる方が含まれる場合もあります。
海外に住む相続人がいる場合の相続手続きや税金の手続きについて、お話します。
まず相続手続きですが、被相続人(亡くなられた人)が遺言書を残していなければ、どのように遺産を分けるかを決めるために「遺産分割協議」をしなければなりません。この遺産分割協議は相続人全員で行う必要があるので、海外にお住まいの相続人の同意も必要となります。
相続人全員が日本在住であれば、遺産の分け方が決まったことを「遺産分割協議書」として残し、相続人全員が実印を押すのが一般的です。
不動産や預金の手続きをする際に、その実印を押した遺産分割協議書と印鑑証明書をセットにして提出します。
外国に住んでいると印鑑証明書が取得できないため、その国の日本領事館などでサイン証明書(署名証明書)を取ることになります。
日本領事館等が近くにあればいいのですが、そこに行くだけでも大変な場合もあります。
また提出先によっては様式がことなっていることもあるので、面倒な手続きに追われることになります。
税金の手続は、海外に住んでいても日本の相続税はかかります。
その場合は日本に住んでいる人を「納税管理人」として税務署へ届出をして、代わりに申告や納税の手続きをしてもらうことになります。
相続人が外国にお住まいの場合には遺言書の作成など、生前に対策をしておくことが重要です。