アクロネット税理士法人 沖縄名護市・浦添市

「相続税の配偶者の税額軽減」

2022.01.24

相続税には「配偶者の税額軽減」という特例があります。聞いたことがある人もいらっしゃるかと思います。

どのような特例か具体的に見てみましょう。

【 事 例 】

   被相続人(亡くなった人):夫

   相続人:妻、長女、長男の3名

   相続財産:1億円(母7千万円、長女2千万円、長男1千万円ずつ相続する)

💡まずは課税遺産総額を求めます。

 基礎控除は3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円となります。

 相続財産から基礎控除を差し引きます。

 1億円-4,800万円=5,200万円が課税遺産の総額となります。

💡次に課税遺産総額を法定相続分であん分します。(実際の相続した割合と異なります。)

 妻  5,200万円×1/2=2,600万円

 長女 5,200万円×1/4=1,300万円

 長男 5,200万円×1/4=1,300万円

💡それぞれに税率を乗じて、それを合計します。

 妻  2,600万円×15%-50万円=340万円

 長女 1,300万円×15%-50万円=145万円

 長男 1,300万円×15%-50万円=145万円

 合計 340万円+145万円+145万円=630万円(相続税の総額)

ここまでは、誰がどのように相続したか、については影響がありません。

これから具体的にそれぞれが負担する相続税が計算されます。

💡相続税の総額を実際に相続する割合であん分します。

  妻 340万円(相続税の総額)×7千万円(妻の相続分)/1億円(相続財産)=238万円

この238万円が妻に割り振られた相続税となります。

ここで、妻の相続分7千万が法定相続分または1億6,000万円より小さい部分は、

配偶者の税額軽減を受けることができます。

今回の事例では、妻の相続分が1億6,000万円以下となります。

ので、238万円全額が控除されるため、妻が相続税を納める必要はありません

長女と長男の相続税額はそれぞれ次のようになります。

  長女 340万円×2千万円(長女の相続分)/1億円=68万円

  長男 340万円×1千万円(長男の相続分)/1億円=34万円

このように配偶者の税額軽減は納税額に大きな影響があります。

しかし妻に相続が発生したときの相続税には、注意が必要です。

妻の財産が大きくなると、相続税の負担も大きくなります。

将来の相続税を見越して、配偶者の特例を検討することをお勧めします。

また妻へ相続させる財産についても、将来は誰に相続させるかを話し合っておくと、トラブル回避の第一歩となります。

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